当日は貸切大型バス1台がちょうど満席となる46名が上野駅公園口に集合、郊外のT氏邸まで、隅田川沿いの満開の桜並木や江戸川堤を埋め尽くす菜の花を愛でながらのバスの旅を楽しみました。花曇りの空の下、むしろ前夜のお湿りで木々の緑も生き生きとしていたように思われます。

出演者は、協会事務局にも事前には知らされておらず全くのサプライズでしたが、ソプラノ安藤赴美子、テノール笛田博昭、バリトン須藤慎吾、ピアノ浅野菜生子という豪華メンバー。
曲目はもちろんオール・ヴェルディ・プログラムで以下の独唱6曲と二重唱3曲が演奏されました。
《オテッロ》より<アヴェ・マリア>(安藤)、《マクベス》より<憐みも、尊敬も、愛も>(須藤)、《イル・トロヴァトーレ》より<ああ、私のいとしい人〜見よ、恐ろしい炎を>(笛田)、《ルイーザ・ミッレル》より<神様、もしあなたをご立腹させたのなら>(安藤)、《仮面舞踏会》より<おまえこそ心を汚すもの>(須藤)、《運命の力》より<天使のようなレオノーラ>(笛田)、《ラ・トラヴィアータ》より<天使のように清らかな>(安藤・須藤)、《運命の力》より<最後の願い>(笛田・須藤)、《オテッロ》より<夜も更けた>(安藤・笛田)
オーナーのT氏が「独断と偏見」で行ったとおっしゃるこれらの選曲は、人間の感情とドラマを美しくも悲しく、そして時には火を噴くように激しく、様々の確度から表現するまさにヴェルディ・オペラの醍醐味を味わえるものになっていました。これを、2階分吹抜けの高い天井と大理石張の床をもつ響きのよい立派ホールの中で、現役ばりばりの精鋭歌手たちが白熱の歌唱を繰り広げるのを間近で聴くのですから、たいへんな迫力です。

最後は、あらかじめ楽譜が配られていた《ナブッコ》のヘブライ人たちの合唱<ゆけ、わが想いよ、黄金の翼に乗って>を参加者全員で合唱。コテコテのヴェルディを堪能し、一同、大満足でした。
その後、隣接する歴史博物館(江戸時代からの大庄屋であったT家の旧居と庭園)の見学、そしてT氏邸に戻りサロンでワインパーティー、出演者も交えた歓談が行われました。
今後もこのような素晴らしい「会員限定企画」の機会を増やしていきたいものだ、と思いました。 (Simon)
