今回のテーマは「フランスの響き グランド・オペラ」と銘打ち、パリ初演から150周年にあたる《ドン・カルロス》のフランス語による初演版を抜粋で演奏しました。
出演者は、上田純子(ソプラノ)、中山茉莉(メゾ・ソプラノ)、渡邊公威(テノール)、清水勇磨(バリトン)、妻屋秀和(バス)、高橋裕子(ピアノ)の皆さん。当協会理事長の小畑恒夫が解説を行いました。

普段聴きなれたイタリア語のミラノ版(4幕)やモデナ版(5幕)とは、音楽そのものが異なる部分もあるほか、同じ音型でも言葉の響きが異なるため、新鮮に聞こえだけでなく、ヴェルディが当初意図した音楽の美しさを改めて認識させてくれるよい演奏であったと思います。
終演後にフォワイエで開催された懇親会でバスの妻屋秀和さんが語ってくれた話によると、彼は既にフィリップ(イタリア語ではフィリッポ)のアリア<ひとり寂しく眠ろう>を20回以上歌っているそうです(彼には一昨年の第15回マラソンコンサート「為政者たちの運命」でもこのアリアを歌っていただきました)が、フランス語で歌ったのは初めてとのこと。

しかしながら、見事な歌唱で、この曲が本来もつ響きを明らかにしてくれたと思います。
そのほかのソリストの皆さんも、実力を発揮し、聴きごたえのある演奏を披露してくださいました。
懇親会で聞こえてきた聴衆の方々の感想も、非常に評判のよいものでした。
また、今回の懇親会では、歌手の方々と個別に交流するだけでなく、マイクをつかって皆さんの前で興味深いお話をいろいろ話していただく機会も作ることができ、楽しんでいただけたと思います。

