
当日は台風24号が接近する心配な天候の中、83名のお客様にご来場いただき、満員の盛況となりました。
フリードリッヒ・フォン・シラーの原作による《群盗》は、ヴェルディの11番目のオペラで、彼が33歳のときロンドンで初演されました。そのせいか、イタリアでも滅多に上演されないこの作品ですが、イギリスでは高く評価する人も多いらしく、評論家のチャールズ・オズボーンはその著書の中で「ヴェルディの『苦役の時代』の中でも最も霊感に満ちた作品のひとつだと言い、かのバーナード・ショーが94歳で亡くなるまでピアノのそばに常に《群盗》のヴォーカルスコアを置き、折にふれて自らピアノを弾きながら歌ったというエピソードを紹介しています。
当日は《群盗》作曲の経緯とあらすじ、楽曲の解説を実演つきで行いました。
演奏は、アマーリア(ソプラノ)を照屋江美子、カルロ(テノール)を谷川佳幸、フランチェスコ(バリトン)を黒田祐貴、マッシミリアーノ(バス)とモーゼル(バス)を崎翔平、ピアノを高島理佐の皆さんにお願いし、解説は当協会専務理事の武田が担当しました。

実演したのは、第1幕からカルロ、フランチェスコ、アマーリアの各アリアとアマーリアとマッシミリアーノの二重唱、第2幕からアマーリアとフランチェスコの二重唱、第3幕からアマーリアとカルトの二重唱、第4幕からモーゼルとフランチェスコの二重唱、マッシミリアーノとカルロの二重唱、カルロ、アマーリア、マッシミリアーノの三重唱の9曲。いろいろな声種の組み合わせによる重唱曲の面白さを楽しんでいただく企画としました。



藤原歌劇団のコレペティトゥアとして経験豊かな高島理佐さんの素晴らしいピアノ演奏に乗って歌手の皆さんも熱気のこもった歌唱を披露され、ぜいたくな生演奏による「聴きどころつまみ食い」を堪能いただけたものと思います。
コンサートのあとの懇親会は帰りの交通情報を気にしながらの少々慌ただしいものとなりましたが、参加者の皆さんからは大好評をいただき、「こんな良い曲をなんでもっと聴く機会がないのかしら」というコメントも聞かれたのは主催者としてたいへん嬉しいことでした。 (Simon)